[77] By 単なる内容あるほど早いで~す ID:
>>76から
ユミィ「やった♪安く済んじゃった♪
キッド「良くやった。おまえ見込みあるぞ。
ユミィ「えへへ~、そう?
アンジ「……もしかして、さっきのは全部お芝居?
盛り上がる二人をよそに、アンジだけは冷ややかな目で見ていた。
キッド「値切り交渉と言ってくれ。庶民の知恵だ。それはともかく……
キッドはユミィの腰にぶら下がっている物を指差す。
キッド「何で、またブロンズハンマーなんだおまえ?
ユミィ「う、ウルサいわね、ちょっと気に入っただけよ。
微かに頬を染め、彼女はそっぽを向く。
キッド「ま、別に良いけどさ。…お。
何かに気がついたらしいキッドは、道の脇に座り込んで何かやっている。
アンジ「あ!そう言えば、ナメクジ交換がまだだった。キッド、薬屋に…って、何やってるの?
キッド「ん…あぁ、ちょっと用事を思い出した、先行っててくれ。
アンジ「う…うん、良いけど…
何かを手にして、キッドはそのまま雑踏へ消えた。
アンジ「何なんだよぉ、いったい。
ユミィ「ほっときなさいよ。でもこれで、キッドの分も使い放題ね。
悪戯を思いついた子供のようにニヤリと笑い、彼女は足早に次へ向かう。
アンジ「あ、待ってよ!
意外に早い彼女の脚に、アンジは慌てて後を追った。
>>78へ
2009-11-07 07:55:00
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[76] By 単なる内容あるほど早いで~す ID:
>>75から
収入もあった事だし、一行は装備を買い足しに買い出しに来ていた。
ユミィ「わぁ、この細工可愛い♪ねぇねぇ、これお兄さんが作ってるの?
アドル「お、そうか?ま、作ったのは俺じゃないが、Gさんの腕は確かだ、保証する。
ユミィ「…あれ?お兄さん、私と会った事あった?
アドル「?いや、覚えてないが…
ユミィ「どこかで見たような…あっ!
アドル「?
ユミィ「ナリウス様よ!お兄さん、ナリウス様に似てる~♪
アドル「へ?
アンジ「ナリウス様…?
突拍子もない彼女の台詞に、アンジは目を丸くした。
アンジ「(ねぇキッド、ナリウス様に似てると思う?)
キッド「(しっ!黙ってろ。)
アンジ「(え~!?)
アドル「そ、そうか?初めて言われたなぁ、でも、恐れ多いよ。
頭をかく彼の表情はまんざらでもない様子だった。
ユミィ「よし、決めた!私、お兄さんから買うわ。
アドル「お!ありがとよ!コイツで良いんだな?
ユミィ「…うっ。
アドル「どうした?
財布から顔を上げた彼女は目を潤ませて、
ユミィ「300Bしか無かった……無理よね?
アドル「何だそんな事か、今日はサービスだ250で良いぜ!
ユミィ「わ~♪やった♪お兄さん大好き♪
そう言ってアドルの首に抱きつくと、彼は顔を真っ赤にして頬をかいた。
>>77へ
2009-11-07 02:30:00
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[75] By 単なる内容あるほど早いで~す ID:
>>74から
キッド「……。
ジャン「行くのか?ラプトへ。
キッド「ああ。もうついてくるなよ。
ジャンは顔をあげて笑った。
ジャン「俺はこの有り様さ、暫くは自警隊も休みだ。やりたい事も出来たしな。
ちらっとユミィの方を見る。
ユミィ「?
ジャン「ほら、おまえらの報酬だ。それで槌なりなんなり買うと良い。
そう言って財布を投げて寄越した。
ユミィ「わ、やった♪
キッド「ちょい待て、コレはおまえの財布…
ジャン「知らねえな、気のせいだろ。中に引換券とやらも入ってるぜ。兵に見せれば何かもらえるはずだ。
そう言って外を顎で示した。
キッド「すまん。
ジャン「礼を言われる筋合いはねぇな。さっさとどっか行きやがれ。二度と戻ってくるな。
キッド「嫌だね。手前ぇの首を引っこ抜く為に、必ず生きて戻って来る。
ジャン「その時は…
キッド「ああ、
ジャン・ジャン『勝負だ。
アンジ「あ…あれ?あれ?
二人が喧嘩するとばかり思っていたアンジだったが、どこかおかしい事に気がついていた。
ユミィ「だから、仲が良いって言ったでしょ。やっと気付いたの?
ユミィは呆れたようにアンジを横目に見た後、一人で先に階段を降りて行った。
>>76よろしく~
2009-11-06 15:47:00
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[74] By 単なる内容あるほど早いで~す ID:
>>73から
ユミィ「あぁ~っ!アンタ!!金槌返しなさいよっっ!!
廊下の途中で壁にもたれかかっていたジャンを見つけ、ユミィが詰め寄る。
ジャン「あ~、スマン、無くした。
ユミィ「何ですってぇぇぇ!!
キッド「ジャン、手前ぇ……
アンジ「ちょっと、キッドぉ~…
また喧嘩でも始めるのかと思い、アンジは慌ててキッドにしがみつく。
キッド「まさか一度逃げたはずのおまえが、俺を庇うとはな。
見ると、ビル達と較べると軽いものの、全身の包帯と杖をついた足が痛々しい。
キッド「悪ィ、礼を言う。
ジャン「やめてくれ、気持ち悪ぃ。
キッド「あんだと?
ジャン「自分でも驚いたよ。でも逃げ出した時、テルミラ様の声を聞いたんだ。あの時と同じように…
そこで一旦、ジャンは目を閉じた。
>>75へ
2009-11-06 14:38:00
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[73] By 単なる内容あるほど早いで~す ID:
>>72から
ファーゴ「申し訳ありませんでした。間に合わなかったようで。
ビルの包帯を取り替えながら、ファーゴは謝罪の言葉を述べた。
ビル「何を言うか。用事があったのだろう?それで、無事だったのか?
それを聞いた彼女は微笑みながら、
ファーゴ「気付いておいででしたか。何とか三人とも、命は取り留めました。
ビル「そうか、何よりだ。しかし、まさかあの斧が折れるとはな…
ファーゴ「ストームアクスがですか!?
それを聞いて魔術師は目を丸くする。
ビル「ああ。もっと丈夫な武器が必要だ。
ファーゴ「それで、タール様に?
ビル「まぁ…な。それもある。奴に借りを作るのは不本意だが、な……
ビルはベッドに横たわり、目を閉じて深く息を吸い込んだ。
アンジ「なんでドレイク免除を断ったのさ?キッドらしくないね。
長い廊下を行きながら、アンジはキッドの顔を覗き込む。ユミィは…新しい服を手に入れてご機嫌なようだ。
キッド「あのなぁ、アンジ……
キッドは呆れたように肩をすくめた。
キッド「俺らが自分の仕事を減らしたら、どうなると思う?
アンジ「……?
キッド「褒美が減るに決まってんだろうが!良いモンもらえるチャンスは、最大限、活かさないとなっ!!
アンジ「………キッドらしいよ。
>>74へ
2009-11-06 07:53:00
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[72] By 単なる内容あるほど早いで~す ID:
>>71から
封蝋に虎の紋章が入った丈夫な封筒を受け取り、無くさないよう懐にしまい込む。
ビル「それでドレイクの件だが…
キッド「はい、必ずやり遂げて参ります。
ビル「いや、免除しようと思ったのだが…
それを聞いたアンジは目を輝かせたが、
キッド「いえ、ズルはしたくありません。己の試練と思い、精進します。
ビル「フッ、勇ましいな。良い心掛けだが、そのままではマズい。ファーゴ!
ファーゴ「はい、ビル様。
声に応え、大きな包みを抱えた魔術師が部屋に入って来た。
ビル「頼んだ物は出来たか?
ファーゴ「はい。皆様、これを。
言われるがまま、包みを受け取る。
ビル「開けてみるが良い。
アンジ「これは……
出て来たのは三人の体格に合わせてあつらえた外套だった。
ビル「皇国の紋章が入った、見習い用のマントだ。それを持つ事は皇国軍の証。見せれば身分を証明出来るだろう。ただし!
一旦言葉を切り、厳しい顔つきでこちらを見る。…特にキッドを。
ビル「それを着るからには、より一層、普段の行動に留意するように。まぁ…
ビルはちらと傍らのシドを見やる。
ビル「こいつくらいのハメをはずすのは多目に見るがな。
ばつが悪そうに俯くシドを尻目に、部屋に笑い声がこだました。
>>73へ
2009-11-06 06:41:00
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[71] By 名無し ID:
>>70
シド「奴は東方に向かって飛び立ったと報告があります」
シドが他の街に居た仲間からの伝令を伝えにきた。
ビル「東方…ふむ。お 前達に任務を与えよう。これをラプトにいるマーサルに届けてくれ。彼ならば有名な義賊とも繋がりがあるはずだ。不本意だが奴は軍だけでは手に追えん」
そういって1通の手紙を受け取った。
>>72
2009-11-06 04:03:00
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[70] By 名無し ID:
>>69
その後の事はうっすらとしか覚えていない。
僕たちはバスカルのアック区皇国軍の支部で目を覚ました。
皇国軍の人達はユミィや僕たちをかばったせいで重傷だ。
巨龍から感じた感覚は恐怖そのもの…ただ逃げる事だけしか考えられなかった。
そのなかで彼らは僕たちをかばった。
もしあの場面で僕たちが居なければ…
ビル「参ったな。戦線に立てる者は負傷。唯一動けるお 前達はまだ見習い」
アンジ「…あの時いったい何が?」
オーラを感じた後、かばおうと歩み寄った彼らを見た所から記憶がなく…気付いたら此処に居た。
ザルド「あれはフレイムブレスではなかったですね。君達が巻き込まれなくて良かった」
ザルドが起き上がりながら口を開いた。
ビル「無理をするな。今はしっかりと休養するんだ。
あれは恐らくインフェルノだ。ドレイク種が主に使うフレイムブレスは言ってみれば火を吹くだけのもの。しかしインフェルノは大地のオウラを活性化させマグマを呼び起こし辺り一帯を巻き込む爆発を起こす。さすが伝説だけの事はあるな」
>>71
2009-11-06 04:01:00
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[69] By 名無し ID:
>>68
巨龍は何かに集中していた。
ビル「奴等の種族固有の技か…!」
フレイムブレス…一部の強力な竜種や火を扱える魔物が体得している大技。
範囲こそ前方のみだがその威力は測りしれない。
ザルド「…?ッ違う!」
ザルドが何かに気付いた刹那、巨龍から凄まじいオーラを感じた。
>>70
2009-11-06 03:59:00
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[68] By 単なる内容あるほど早いで~す ID:
>>65
夢を見ていた。恐ろしい夢だ。生きる希望さえ根こそぎ刈り取る程の、酷い悪夢だった。争っては奪い、奪ってはまた争う。それはまるで、古代から連綿と続く醜い人類の歴史を繰り返し見せられているようだ。
アンジ「うわぁぁぁぁっ!!
アンジはシドを突き飛ばし、逃げ出そうとした。恐ろしい。どこか遠く、あの化け物のいない所、争いの無い場所まで…しかし足は震え、這って歩く事しか出来ない。
その時、キッドの声が聞こえた。それだけじゃない。仲間、家族。そして天を衝く巨大なトネリコの木。それに繋がる、人々の生きる喜び…
「少年よ…
溢れ出た絶望の底に残ったのは希望。
世界は闇?絶望?…………否!
世界は希望に満ちている!!」
アンジ「……うわっ!?
にわかに、アンジの腰に付けた杖が眩い光を放ち始めた。
アンジ「これは……?
シド「痛つつ……オイ、どいてくれ。
逃げだそうとしたアンジの下敷きになっていたシドが呻く。
ザルド「くっ、奇怪な技を…
前線の戦士達も、杖の加護か、正気を取り戻したようだ。
ビル「動ける……が、武器が…ムッ!?
見ると、天を向いて目を閉じた龍の周りに励起したオウラが、地面の上の小石をカタカタと揺らしていた。
>>69へ続く
2009-11-06 01:47:00
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