[57] By たぁっでしたってんねんけど? ID:
>>56から
ビル「怪物に恐れをなして、化け物どもが逃げ出した、と言うならわかる。しかし、それならなぜ、それだけの力の気配を感じないのだ?
ティール「彼らが嘘をついている…と?
ティールはちらとキッド達の方を見やる。
ビル「ふっ、そこまでは言わんよ。どれ、私も休むか。
そう言うと、ビルは草むらの上に身を投げ出した。宙にはまだうっすらと星が瞬いていたが、東の空は既に明るくなり始めていた。
アンジ「あの、大丈夫ですか…?
アンジは恐る恐る禿頭の男に声をかける。
シド「はぁ、はぁ、ああ、大丈夫さ…うっ。
とてもそうは見えない。
アンジ「お水、飲みます?
シド「ああ、すまんね……うっ!
アンジから受け取った水袋を口にやった所で、シドの動きが止まる。
ユミィ「うわ…あの袋は、もう使えないわね。
彼がどうしたのかを想像してしまったユミィは、顔をしかめて目を逸らす。
ジャン「なぁ、まだ走るのか?
いい加減走るのに飽きて来たジャンは、拾った木の枝を弄びながらキッドに尋ねた。
キッド「いや…。今気付いたんだが、そこの草むらの丸太が見えるか?
ジャン「ん…?ああ、何かあるな。
キッド「あれ、ザルティスだろ。
ジャン「………。
余りにその言い方が普通だったので、ジャンは最初その意味がわからなかった。
ジャン「何だとっ!?
慌てて立ち上がったジャンが剣を抜き放つと、金属が擦れる音が響き一同に緊張が走る。
ザルド「何だ!敵かっ!?
副官のザルドも剣を抜きながらこちらへ歩いて来た。
キッド「落ち着けよ、ジャン。そいつは動きゃしねぇよ。中尉!
ビル「どうした?
ザルドの後ろから姿を表したビルがジャンの向こうへと進み……
ビル「ふむ、これ…は……っ!
ざわっ…
風の音か?いや違う、強敵の存在を感じ取った歴戦の戦士の気迫が、圧力をもって押し寄せて来たのだ。ビルの姿が揺らいで見えたのは、目の錯覚ではない。
ビル「どうやら、怪物とやらは本当にいるようだな……
そう言って不敵に笑う彼の目の先には、巨大な何者かに喰い荒らされた、大蛇の遺骸……いや、食べかすがあった。
>>58へ
2009-11-04 01:32:00
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