[14] By 名無し ID:
>>13続
未だ惚けているANJIが手にした杖を見るなり
「あーっ!!ちょっとアンタ!」
と、ANJIの両肩を強く掴み、前後左右に激しく揺さぶった。
「それアタシのッ!どこにあったの!?返してよ!」
ガクガクと揺さぶられ、耳元で質問責めに遭ったお陰かようやく我に帰るANJIだが、状況を把握する間もなく杖を奪われる。
何が何だか分からないANJIは、唯キョロキョロと辺りを見回す事しか出来なかった。
相変わらず人々はANJIを避け、怪訝そうな顔をしながらこちらを見ていた。
「ちょっとアンタ、何か言ったらどう?」
やや下から見上げる様に睨み付ける少女。
良く見ると、少女の羽織るケープにはバスカリア神学校の校章が縫い付けられていた。
校章を見る限りでは一学年下の生徒の様だ。
「えっと…ゴメン、それ君の―」
「だからこうしてアタシが持ってんでしょ?」
言葉の途中で遮られ、パクパクと動くだけの口。
しばしの沈黙の時間が流れる。
その間もジッとこちらを睨み付ける少女。
――気まずい…
ゴニョゴニョと言葉にならない音を発しながら戸惑うANJI。
だが、ふとある事に気付く。
「あ、あれ?君神学校の生徒だよね?」
突然された杖には関係のない質問に少しキョトンとする少女。
「それがどうかしたの?」
「なら今日のこの時間はまだ授業が…」
「なっ…!」
不意を突かれたのか、分かりやすく動揺する少女。
ワタワタと意味の分からないボディランゲージをしている。
「べ、別にサボって探してた訳じゃないわよ!?」
――サボってたんだ…
弁解する少女を余所に自己完結するANJI。
ウ~ッと唸りながら少し顔伏せる少女。
「まぁ、見付けてくれたみたいだからお礼くらいは言っておくわ、ありがと!」
そう言い放ち、早々と去っていった。
結局、事態をイマイチ飲込めないままANJIは一人街中に取り残されてしまった。
「何だったんだ…」
ガックリと肩を落とすANJI。
今日一日分の体力を使い切った様な疲労感が体の底から込上げて来た。
「ま、気を取り直して行くかな。それにしても不思議な杖だったなぁ…ってあれ?」
ふと足元から乾いた木の棒の様な音がした事に気付く。
――嫌~な予感…
恐る恐る下を見ると、先程の少女がアタシのだと、ANJIから奪い取った杖に良く似た杖が転がっていた。
>>16
2009-03-30 13:55:00
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