[433] By 名無し ID:
>>431
…ドクン
唐突に世界がモノクロになった。
色が消える。
W『な…なんだ…?』
声が反響して幾重にも聞こえる。
上下も左右もない浮遊する感覚の中で、ウィークの脳裏に何かが蘇る…
???「(…お前にはスカウトの才能があるらしいな)」
ウィーク(ダレ?)
???「(凄いじゃないか…
もうGOBLIN SMOKERを倒せるようになったのか…)」
ウィーク(この人は誰なんだ…いや…見たことがある…)
???「(ジャン…俺のパーティについてくるか?)」
ウィーク(…これは…)
???「(逃げろ!!ジャン!!!)」
!!!!!
ウィーク『……ダ…ダ… コーポラル…ダダ… ジャンの…父さんだ…!』
ダダ「(ウィーク…来なさい。お前には…力がある。誰にも属さない力が…)」
ウィーク『力?俺に力がある?』
いつの間にかウィークは過去の幻影ともいえる、ダダの影に話しかけていた。
ダダ「(そう。力だ。誰にも属さず、誰にも奪われてはならぬ、恐ろしい力…)」
ダダ「(正しく使われなくてはならない力…お前だけの力…)」
ウィーク『俺だけの…』
ダダ「(そう…その名は…スキル"ディアブル"…。お前は狙われている。きっと狙われる。心して修行するんだ…)」
ウィーク『ディアブル…』
ダダ「(忘れるな。お前にあるその力は、守るための力だ…守り、護り、衛るための…お前の大切な人々を傷つけないためにある力だ…)」
ウィーク『まもる力…』
ダダ「(お前や、お前の大切な人…お前の世界を傷つけるためにある力じゃあない…)」
ダダ「(お前の世界を護りぬくために必要な…力…わす…な………決して…)」
声が遠のいていく。
ゆらゆらと世界が揺れている。大きな流れがウィークをその場所から攫っていこうとしている。
ウィーク「待って…待って!なんなんだ、どうやったらいいんだ?もっと教えて、わからない!俺にはわからないんだ!」
強いうねりがウィークの体を持ち上げた。もう声は届かない。
ただ、男の真摯な瞳がウィークを見つめ続けているだけだ。その瞳もすぐに見えなくなった。
ウィーク「待って………!!!!」
流れが強すぎて目をあけていられない。思わず瞑ったまぶたの裏で、仲間達が微笑んでいるような気がした。
…流れが収まって、ウィークは目を開けた。
ちゃんと色があった。
W「…俺…どうしたんだぁ?今のは一体?」
わざと声にだして呟いた。自分がここにいるのを確かめるために。
W「…ここは…ザガ区バインドポイント…?」
ウィークはきょろきょろとあたりを見回しながら立ち上がった。すこしふらつくが動けないほどではない。
まぶたの裏で微笑んだ仲間達を探すために、ウィークは歩き出した。
2007-09-28 21:32:00
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