[431] By 名無し ID:
>>421
W「くっそぉ…今の黒ローブは誰だよ!?」
ウィークは走りながら毒づいた。
記憶を頼りに、過去の自分を探すが、マザーを襲ったらしい連中のことが気になる。
W「まさか、ムスカとか呼ばれてた野郎か!?セアリスを攫った…」
彼ら、黒の教団も真っ黒なローブに身を包んでいた。
この騒動を手引きしたのが奴等ならば、話に説明がつく気もする。
W「おっと、…みつけたぜ…」
W「花、ハナ、はな……
どんだけいるんだよ!?」
Y「マンイーターなのに人を襲わないのは疑問に思ってたけどね…」
ビルたちはマンイーターの群れを片っ端からたたき始めた。
あちこちで赤い花びらが散る。魔法の光が、魔物の体を灼いていく。
だが、その数は圧倒的で減る気配を見せないままだ。
ウィークはマンイーターの影に隠れながらも、舞うように剣を操り次々と花を散らしていった。
W「俺も強くなったもんだよなぁ…このころは、ドレイクに飲み込まれたりいろいろあったのに」
ザシュッ!
呟きながら近場の妖花に剣を突き立て、とどめをさした。
ビル達の方を確認すると、丁度ゴブリンファーザーが食われかけているところだった。
みんなは遠巻きにそれを眺めている。
W「うむうむ。この辺だな。あとはこの石を持って"俺"に近づくだけ…」
ウィークはマンイーターの隙間をするすると縫いながら接近した。
みんながウィークに気づく。
「まさかあれがGM?」「ゲームマスター、ゼネラルマネージャー?」「いや、ゴムだろ」「GAーン俺のMAゾを受け入れてくれないのかよ、の略だろ」
好き勝手な呟きを聞き流し、やるべきことをシミュレートする。
果敢につっこむ、さっくり負ける、さわやかな笑顔で去る。この三つだ。
W「きえぇぇぇぇぇ!」
果敢につっこんで、
グシャッ!!!
W「ぐはっ!!」
さっくり負けて、
W「あっ!それじゃあ僕は3の腹ごしらえで」
さわやかな笑顔で去る。
…ウィークがみんなの微妙な表情を見ることはなかった。
W「完璧だ!俺できたよマザー。これで何か変化があるんだろ…過去の俺か、今の俺に!」
…ウィーク本人は晴れやかだ。
ウィークは石をポケットにつっこんでいたので気づかなかったが、もちろん変化はあった。
石自体にも。
ウィークが過去のウィークに近づいた瞬間から薄い光を放ち始めた石は、ゆるゆると透けていき、いまやその中にある真っ赤な宝石を映し出していた。
ポケットの中で発光する石はやがて、その光でウィークそのものをも包み始めた。
走りながらみんなから離れるウィークはそれに気づき、石を取り出した。
W「な…なんだこれ…」
赤い宝石が内部に輝く石は、その光でウィークの目の前の空間を切り裂いた。
リコールストーン…あるべき場所へと還す石…
この石の名だった。
そして切り裂かれた時空は、世界にほんの少しの"揺れ"を与えた。
揺れる世界の中でウィークは、『過去』を見る―――…
2007-09-28 21:31:00
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