[24] By 名無し ID:
>>22続
今にも怒りだしそうなYUMIYに少々の気を配りつつ、KIDに一部始終を伝えた。
「なるほどなぁ、つまりその娘の杖を盗っちまったって事か」
勝手に説明を要約して合点するKID。
「KID…一体何を聞いてたの…」
どうすれば自分の説明の中から盗ったと言う表現を拾い上げられるのかと頭を抱えるANJI。
後ろにいたYUMIYの機嫌が、こころなしか少し良くなっている気がした。
ANJIが二人に絶望してうなだれているとKIDが再び口を開いた。
「だってよ、その杖を返しゃあ良い話だろ?なのに返さないって事は盗った様なモンだろ」
そう言い、ANJIの腰に付いたホルダーにしまわれている杖を指差した。
が、すかさずYUMIYが大袈裟な溜息をつき、オーバーアクション気味に首を振った。
「そんな簡単な問題じゃないの。その杖は…そうね、簡単に言えば意思があるって感じかしら」
「「は?」」
思わずハモるANJIとKID。
大して長く人生を生きては無いので知らない事の方が多いのは当然な訳だが、それでもこの説明は十二分に受け入れ難いモノだった。
恐らく、今年でこの街に住む大半の人間が受け入れられないだろう。
「えーっと、悩みがあるならバスカルの母に言った方グハッ」
「失礼ね!私はいたって正常よ!」
鋭い蛙跳びアッパーを顎に食らい、宙を舞うKID。
同じ様な内容の言葉を口にしようとしたANJIは慌てて口を噤んだ。
中々良いパンチじゃないか、と一言呟き果てるKID。
YUMIYはKIDの遺体を一瞥し、再びこちらに向き直る。
「どうせアンタも信じてないんでしょ?」
その問い掛けに物凄い勢いで首を左右に振るANJI。
その様子を見て満足気に微笑むYUMIY。
「中々柔らかい頭してるじゃない♪ならアンタには説明してあげる」
――自分でそう仕向けた癖に…
けして口にしてはならない言葉を心で呟き、しまい込むANJI。
そんなANJIの本心など知る筈もなく、YUMIYは話始めた。
>>25へ
2009-04-07 16:17:00
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