[18] By 名無し ID:
>>17続き
杖の力に連れられた数秒間の旅は終わり、我に帰るANJI。
ふぅっと一息つく。
が、その次の瞬間、左頬に強烈な衝撃を受けた。
突然の事に堪える事も出来ず、地面へと倒れ込む。
「いい加減目を覚ましなさい!この馬 鹿男!」
ワナワナと怒りに打ちふるえている様子のYUMIY。
ANJIはYUMIYの鋭いビンタに軽く脳震盪を起こしていた。
クラクラと視界の定まらない内にまたYUMIYが怒鳴る。
「その杖の力はそんな気安く使って良いもんじゃないの!下手すればそのまま意識を持っていかれる事だってあるのよ!?」
言い終わった後もまだ興奮が収まらない様子のYUMIY。
だがそんな情報は初耳なANJIは、心配をかけて申し訳ないと言う気持ちより、理不尽なビンタに怒りを覚えた。
顔を振り、視界を調えながらゆっくりと立ち上がるANJI。
手を見ると、倒れた時に手を突いたのか広く擦り剥けていた。
気付くと体の至る所が痛い。
それが余計ANJIの怒りを駆り立てた。
「そんな…そんな重要な事なら、前もって言っとけば良いじゃないか!第一、こうやって無事に戻ってこれたのに何が問題なのさ!」
思わず怒りが爆発するが、YUMIYも負けてはいなかった。
「うるさい!そんなのたまたまよ、たまたま!人の杖を盗んでおきながら偉そうに!」
「いつ僕が杖を盗んだんだよ!話にならないよ!」
あまりの理不尽さに怒りを通り超して呆れが入るANJI。
「うるさいうるさい!サッサとアンタの連れの所に連れて行きなさいよ!このグズ!」
絶え間なく罵り合い、至近距離で啀み合う二人。
フンッとお互い顔を背け、その状態が数秒間続いた。
そして、何も言わずにANJIが歩き出し、その後を、これまた何も言わずに付いて行くYUMIY。
終始無言のままの険悪なムードでKIDのもとへと向かう二人。
一方のKIDは、相方がそんな事になっているとも知らずにご機嫌に買物を続けていた。
「お、これ安いな♪おっちゃんこれくれ!」
「毎度あり!ところでよぉKID、とうとうスリからは足洗ったのかい?」
「さぁ、どうだろうな」
「なぁに言ってやがんだ、いつかBILL中尉にしょっぴかれんぞ!」
「おいおい、冗談キツいぜ…」
ワハハと笑い合う二人。
とても和やかだった。
そんな所へ、少しずつあの嵐が近付いてきている事など、知る由もなかった。
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2009-03-31 03:07:00
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