[206] By 名無し ID:
【ミニ小説】
~~ハチの謎その5~~
親がいた
正確には親であった物があった
肉の塊、骨の残骸、血の染みた土
よく見ると刀の切り傷がある
冒険者によってやられたのであろう
血の染みた土を触って見る
塊が砕け、手に血が付く
血がまだ乾いてないのを見るとつい最近の出来事の様だ
子犬の置かれた状況を把握し、親代わりになる事を決め、生きる為の知恵を教えた
しかしすぐに別れの時は来た
おじいさんの寿命が来たのだ
子犬は成長し、立派な『狼』になっていた
子犬と見間違えるほどの可愛らしさは消え凛々しい顔と堂々とした身体付きをしている
だがどこか不安気にしている
おじいさんが弱っているからだ
おじいさんは子犬だった狼を見て撫でた
狼はそれに甘える
最初に出会った頃と同じ様に
おじいさんは最後に魔法を唱えた
この子がどんな冒険者が来ようと生きる為の力を授けた
発動の光が終わる頃、狼が吠えた
おじいさんは動かない
いつまでもいつまでも狼は吠え続けた
もう1人の親への感謝の気持ちを込めて…
2009-12-08 01:35:00
[返信] [編集] [報告]